「登山に行きたいけど、最近問題になっているヤマダニ(マダニ)が怖い」
「マダニに咬まれたらどうしたらいいのだろう」
「登山に行くとき、マダニの対策には何をしたらいいのだろう」
せっかくの趣味を楽しむためにも、どう備えればいいのか知りたいですよね。
でもマダニの対策をしようにも、普通の虫除けをつけるくらいしか思い浮かばず、何をしたらよいか見当もつかないかもしれません。
そこで今回は、マダニ被害に対して、恐怖を感じる方・悩む方に、「簡単にできる登山時のマダニ対策」をご紹介します。

万が一マダニに咬まれた時に備えて「絶対にやってはいけないこと」と、「すぐに取るべき行動」についても解説しますので、安心して登山に行けるようになりますよ。

最近、ニュースでマダニによる被害が話題になったこともあり、特に登山愛好家の方から害虫(害獣)駆除専門ライターの私へ、マダニ対策について相談を受けることがよくあります。
特に既婚者組は、奥さんに心配されることが多く、愛犬を抱えながら「あなたはいいけど私やこの子はどうなるの」などと悲しいことをいわれるケースもあるようです。

登山するにあたって、マダニに対しての正しい対策方法が身につき、すぐに実行することができるようになりますよ。
ぜひ最後まで、お読みくださいね。

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1 素人でも簡単な方法で登山も怖くない高レベルのマダニ対策ができる

素人でも、簡単な方法で『登山も怖くない高レベルのマダニ対策』をすることが可能です。

マダニは、知らない間に被害に遭ってしまうことが、一番の恐怖ですが、しっかりと、『被害を防ぐ対策』さえしていれば、悪戯に怖がる必要はありません。

2 マダニ被害とは

マダニは、一般の人々のマダニに対する認知度・知識不足のために、特に登山愛好家の方に大きな被害を与えています。
山ダニ、と聞くと、布団のなかで痒みを引き起こす『程度』のあのダニ、面倒な害虫、というイメージを持つ人が多いのが現状ですが、本来は、マダニは、しっかりと警戒し、その危険性を正しく理解していることが必要な、『危険な生物』です。

2-1 イエダニとは全く異なる

同じダニでも、マダニはイエダニとは全く異なります。
ダニというと、布団やじゅうたんについている「目に見えないダニ」を思い浮かべるかもしれませんが、マダニは『屋外』に生息していて、『大きさ』もかなり違います。

京都市情報館「衛生動物だより」No.047
画像:京都市情報館「衛生動物だより」No.047
https://goo.gl/yR9Gdz

マダニの特徴となっているのは、次の点です。

  • 見た目と特徴
  • 生息場所
  • エサにするもの
  • 人間への危害

詳しく解説しますね。

見た目・特徴

マダニは、『肉眼ではっきりと確認』することができるほど大きな見た目をしており、1週間かけて『ゆっくり吸血する』という特徴があります。

マダニは噛んでいる部位が麻痺するような物質を出していますので、1週間気付かれることなく吸血し続け、結果、はっきりと目視できるほどの、通常時の100〜200倍に膨れ上がります。
ノミも動物や人間に付着して肉眼で見ることができるというマダニと同じような特徴がありますが、ピョンピョン飛びますので、比較的すぐに違いがわかります。

生息場所

マダニの生息場所は、野生生物が生息する野山の『草むら』や『藪』です。

草むらや藪にいれば、その場所を通る野生生物や人間にくっつき、吸血する機会を得ることが容易にできるからです。

エサにするもの

マダニがエサにするものは、人や動物の『血液』です。

動物や人に付着するのは、食事のための吸血が目的なので、1週間ほどして吸血が終わると、自然に離れ落ちるのも、そのためです。

人間への危害

マダニは、人間への危害があるので注意が必要です。

吸血される際に、人間の命が脅かされるほどの高い危険がある『マダニが媒介している感染症』を、マダニに咬まれたことが原因で発症することがあるからです。

東京都健康安全研究センターは、マダニの人間への危害について次のよう警告しています。

一般的にマダニは、吸血するために地上1m位の植物の葉陰で野生動物や人を待ち伏せして、その体に付着します。そして、比較的やわらかい部位の皮膚に咬み付き、セメント物質を分泌して固着し、その後、麻酔様物質の含まれた唾液を分泌し吸血します。セメント物質で固着したマダニは除去しづらくなり、皮膚科での処置が必要となる場合があります。また、マダニが媒介する感染症も存在します。

 
引用:東京都健康安全研究センター「マダニにご注意!!~マダニQ&A~」 https://goo.gl/wimdjb

刺されたらすぐにかゆみや痛みで気づくことができる、蚊や蜂よりも、ある意味たちが悪いですよね。
『たかだかダニ』と、決して侮らないでくださいね。

2-2 「殺人ダニ」とまで呼ばれる高い危険性

マダニは、「殺人ダニ」と呼ばれるほど高い危険性をもっています。
「殺人ダニ」と呼ばれる所以(ゆえん)は、その高い致死率にあります。
毎日新聞は、「日本におけるマダニの感染症による致死率が21%」であるとし、次のように報告しています。

日本で初めて感染が判明した平成25年から今年6月末までに、計266人の患者が報告されている。有効な治療薬はなく、計算では、日本の致死率21%の「殺人ダニ」だ。韓国での致死率は46%とさらに高く、中国でも7・3~12・2%との調査結果がある。中韓では血液が原因とみられる人と人の間の感染事例も報告されている。
 
引用:産経ニュース2017年8月13日「「殺人ダニ」西日本に偏在?韓国の致死率高く 「SFTS」は日中韓で確認の新型感染症」 https://goo.gl/afkYtv

2-3 被害発生件数の多い場所

もともとマダニによる被害発生件数の多い場所は、西日本でした。
しかし、近年では全国に広まっているのが現状で、全国で「マダニによるウィルス」が猛威を振るっています。
毎日新聞は、マダニによる感染症について次のように説明しています。

患者は増加傾向にあり、昨年は276人と1999年以降で最も多くなった。今年の患者数は7月23日までに118人となり、昨年の同時期を上回っている。地域別では西日本が多いが、最近は青森や新潟、栃木など東日本でも確認され、感染地域が拡大している。
 
引用:毎日新聞2017年8月7日「マダニ感染症過去最多の勢い 分布域、東日本へ拡大」

2-4 マダニによる死亡事例が増加している

さらには、被害件数だけでなく、マダニによる死亡事例までもが増加しています。
増加の理由ははっきりしていませんが、マダニに寄生した野生動物が人家の近くに出没するようになったのが原因の一つとして考えられています。
大阪府立公衆衛生研究所は、マダニによる死亡事例の増加について次のように報告しています。

この疾患は初めて1984年に 徳島県で発見された疾患で、それ以後九州、四国、中国地方を中心に毎年50例程度 患者が報告されていますが、2007年には98例と増加しました。
 
引用:大阪府立公衆衛生研究所「野山に出かけるときはダニに注意しましょう!」 https://goo.gl/XUGR7v

2007年から、急に『2倍近く』増えているというのはかなり恐ろしいですよね。
こういった被害の急増が、厚生労働省による注意喚起、ニュースでのマダニ被害報道など、近年大きな話題となることに繋がったのです。

「マダニが媒介していた感染症」によるもの

「マダニが媒介していた感染症(ダニ媒介感染症)」は、細心の注意が必要です。

ダニは、死をもたらす恐ろしい病気につながる、『細菌』や『ウィルス』を保有している可能性があるからです。

厚生労働省も、次のように警告しています。

人が野外作業や農作業、レジャー等で、これらのダニの生息場所に立ち入ると、ダニに咬まれることがあります。
ダニがウィルスや細菌などを保有している場合、咬まれた人が病気を発症することがあります。
 
引用:厚生労働省「ダニ媒介感染症」
https://goo.gl/m2e8NP

※ダニ媒介感染症とは、病原体を保有するマダニに咬まれることによって起こる感染症のことです。

ダニ媒介感染症の中には、次のような種類があります。

  • クリミア・コンゴ出血熱
  • 回帰熱
  • ダニ媒介脳炎
  • ツツガムシ病
  • 日本紅斑熱
  • 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」によるもの

マダニによる感染症で特に恐ろしいのは、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」によるものです。

主な症状は、全身倦怠感や消化器症状ですが、重症化すると『死亡』することさえあります。

厚生労働省は、「どのような種類のマダニがSFTSウィルスを保有しているのですか?」という質問に対し、次のように解答しています。

日本には、命名されているものだけで47種のマダニが生息するとされていますが、これまでに実施された調査の結果、複数のマダニ種(フタトゲチマダニ、ヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ)からSFTSウィルスの遺伝子が検出されています。日本ではフタトゲチマダニとタカサゴキララマダニがヒトへの感染に関与しています。
 
引用:厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A」 https://goo.gl/mHaipB

治療法が確立されていない

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、治療法が確立されていません。
有効な治療薬は見つかっていますが、まだ実用段階に至っていないのです。

SFTSは、2013年に初めて確認された新規ウィルス感染症で、2016年2月22日時点で有効な治療薬が発見され、実用化に向けて研究がすすめられています。

マダニが媒介するウィルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に、インフルエンザ薬のアビガン(一般名ファビピラビル)が有効であることをマウスの実験で確かめたと、厚生労働省研究班のチームが22日までに米微生物学会の専門誌に発表した。
 
引用:2016年2月22日日本経済新聞「インフル治療薬アビガン、マダニ感染症に有効 厚労省研究班」 https://goo.gl/ACmXZy

2017年11月9日時点では、「一定の治療効果がみられた」としながらも「治療法の確立」には至っていないことを認めています。

マダニにかまれて感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、愛媛大などのグループは9日、抗インフルエンザ薬の「アビガン」(一般名・ファビピラビル)を使った臨床研究の結果を発表した。チームは一定の治療効果がみられたとし、研究を続けて治療法の確立につなげたいとしている。
 
引用:2017年11月9日「抗インフル薬、マダニ感染症に効果 治療法確立を目指す」

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3 登山も安心して楽しめる完全なマダニ対策方法5ステップ

登山も安心して楽しめる『完全な』マダニ対策方法を5ステップでご紹介します。

マダニ対策の基本は、『予防』『確認』『迅速かつ適切な判断』ですので、5ステップをしっかり押さえれば、マダニの恐怖に支配されたり、マダニの危険に左右されて趣味を阻害されるようなことなく、自分の力でいつも適切な対処ができるようになります。

  1. 服装で防護対策
  2. 忌避剤でさらに寄り付かせない工夫
  3. 家にマダニを連れ帰らない対策
  4. 帰宅後以降の早期発見を意識づける
  5. もしもマダニに咬まれたら取るべき行動

詳しく解説しますね。

3-1 服装で防護対策

『服装』で行う防護対策は何より重要です。

マダニは山の中の茂みや草など、植物に身を隠し、その植物に体が触れることで、人や動物へと移動していますので、肌が露出した状態だと、すぐに噛まれてしまいます。
マダニ対策として注意すべき服装は、次の通りです。

  1. 首にタオルを巻く
  2. 軍手や手袋を装着する
  3. 靴、靴下で足を保護する
  4. 長袖、長ズボンをはく
  5. 明るい色の服を着る

これら5つのポイントをさらに詳しく、解説します。

ポイント1:首にタオルを巻く

『首にはタオル』を巻いてください。
高い木や、背丈ほどある藪から、マダニが降りるように付着してくることがありますので、首が露出していると非常に危険です。

また、首元が無防備だと、首元の隙間から簡単に服の内側に入ってしまいますので、見えない部分ではマダニに服の中に侵入されたことも気付きにくく、状況はさらに悪くなってしまいます。

ポイント2:軍手・手袋を装着する

手は、必ず『軍手』や『手袋』を着用しましょう。
藪や草むらを素手でかき分けると、マダニが付着しやすく、そのまま袖の中から服の下に入り込んでしまうのです。

ポイント3:靴、靴下で足を保護する

足元は、『靴』と『靴下』で保護をしましょう。
登山をして、山の中に入り込んでしまえば、地面・草むらには『どこにでもマダニがいる』と思って間違いないからです。

サンダルではなく靴を、靴下は短いものではなく露出部分をしっかり覆える厚手で長めのものを履いてください。

ポイント4:長袖、長ズボンをはく

『長袖のシャツ』と、『長ズボン』を履いて、『袖口を軍手や手袋、靴下に入れて』完全防御しましょう。
登山は運動量も高く、すぐに汗をかくので薄着をしたい気持ちになりますが、手首、足首にわずかな隙間があれば、マダニはその隙間をめがけて付着します。

半そで半ズボンはもちろんNGです。

ポイント5:明るい色の服を着る

『明るい色』の服を着るように心がけましょう。
マダニは咬まれても痛みを感じないので、どこに付着しているかわからないことが多く、発見が遅れがちですが、明るい色の服を着ていれば、目視でマダニを発見・確認しやすくなります。

3-2 忌避剤でさらに寄りつかせない工夫

忌避剤によって、さらにマダニを寄り付かせない工夫をしましょう。
※忌避とは嫌がって避けること。
マダニの付着が『減少』しますので、服装で防護対策との合わせ業によって、マダニに咬まれる可能性を、大きく減少させることができます。
忌避剤は、厚生労働省により一定の効果があることが確認されています。
現在認可されているのは、「ディート系忌避剤」と「イカリジン系忌避剤」の二つです。

厚生労働省「マダニ対策、今できること」
画像:厚生労働省「マダニ対策、今できること」
https://goo.gl/69idBP

ちなみに、「ダニ忌避剤」はあくまでダニを寄せ付けない効果があるだけなので、「ダニ駆除剤」のようなダニ駆除効果はありません。

忌避剤使用方法

忌避剤の使用方法は、『とにかく漏れなく』ということに重きを置くことが大切です。

忌避剤の種類によっては、肌や衣服を痛めてしまうことがあるので、事前に小さい範囲で試してみて、大丈夫であれば、しっかりと忌避効果を発揮できるように『隙間なく』『十分な量』を使って服やどうしても露出する肌、軍手など防護する厚みが弱い部分の肌などに散布しましょう。

ディート系忌避剤

ディート系忌避剤は、『肌が強い人』で、マダニ以外の虫の対策もしたい人にオススメの忌避剤です。

ディート系忌避剤は、肌に刺激が強いというデメリットがありますが、マダニの他、「蚊、ブヨ、アブ、イエダニ、南京虫、トコジラミ、サシバエ」などにも効果があり、忌避性に優れています。
この忌避剤は、車のシートにつけると腐食してしまうほど強力な成分で、濃度30%のものは、12歳未満の使用が禁止されています。
※ディート系忌避剤は、ほとんどの防虫スプレー(虫除けスプレー)に含まれていますが、2016年6月に厚生労働省により『30%』の高濃度製品が認可されました。

肌が敏感な人やアレルギー体質の人は、肌があれてしまうので使用は控えておきましょう。

オススメのディート系忌避剤

ディート系忌避剤の中で特にオススメなのが、「30%の濃度」で、「4種の肌うるおい成分」が含まれて、「使用後べたつきのない」下記の商品です。

同じディート系忌避剤でも、「ディート15%以下のもの」や、「肌に刺激が強すぎる」、「かなりべたつく」ものもありますので、より効果があり使用感も不快の無いものを選ぶのがコツです。

 

イカリジン系忌避剤

『お子様』や、『肌の弱い人』は、イカリジン系忌避剤がオススメです。

「イカリジン15%でディート30%と同等」のマダニ忌避効果がありながらも、皮膚の刺激を含め『副作用が全くない』という特徴があります。
※イカリジンは2015年に3月に初めて認可を受けて、15%までの使用が認められています。

ただし、イカリジンに効果があるのはマダニの他、「蚊、ブヨ、アブ」だけで、イエダニ、南京虫、ツツガムシには効果がありません。

オススメのイカジリン系忌避剤

イカリジン系忌避剤は、「15%の濃度」があり、「嫌な匂いがなく」、かつ「肌サラサラ効果」がある下記の商品がオススメです。

同じイカリジン系忌避剤でも、「イカリジン15%以下のもの」や、「臭いがきついもの」があるため、購入時は注意が必要です。

 

忌避剤だけでは完全な対策にならないと心得る
忌避剤を使用するときは、『忌避剤だけでは完全な対策にならない』と心得ておくことが大切です。

咬まれず、寄せ付けないという工夫だけで本当に安心なのか、その答えはノーだからです。

どんなに防いでも、小さなマダニが、知らないうちに自分の体や服に付着してしまう可能性は、ゼロにはできません。
忌避剤は、服装で露出部分を完全に覆ったうえでの『補助的な予防効果』はありますが、マダニを完全に防ぐことを保証したものではなく、マダニ駆除をすることもできないからです。

忌避剤の使用について、厚生労働省は次のように説明しています。
忌避剤の使用でマダニの付着数は減少しますが、マダニの付着を完全に防ぐわけではありません。忌避剤を過信せず、様々な防御手段と組み合わせて対策を取ってください。
 
引用:厚生労働省「マダニ対策、今できること」より https://goo.gl/69idBP

3-3 家にマダニを連れ帰らない対策

登山から帰ったらすぐに、「マダニを家の中に連れ帰らないための対策」をしましょう。
マダニは本来、家の中に住む虫ではありませんが、衣服に付着したままで家の中に入れば、屋外から持ち込むことによって、家の中に住みついて、家の中で被害が起きるようになります。
『登山後』も気を抜かず注意しておくことが必要です。

家の中・車の中に入る前に

家の中・車の中に入る前に、マダニがついていないか、衣服のすべてを確認して下さい。

マダニは目視で確認できますので、上着など目に届かない部分があれば脱いで、目の届く部分は着たままでも大丈夫ですので、よく確かめて、家に持ち込んで、家族やペットにまで、被害が及んでしまうのを防ぐことが重要です。

もしマダニを見つけたら、直接触れないように、ガムテープなどを使って取り除いて、確実に殺してください。
逃がしてしまうと、そのまま家や庭に住みついてしまいますので、ガムテープについたままの状態で、石などで潰しましょう。

3-4 帰宅後以降の早期発見を意識づける

マダニに咬まれてしまうと、非常にやっかいですので、帰宅後以降のマダニの早期発見を意識づけるようにしましょう。
『素人では対処するのが困難』なので、もしもマダニに吸血されていれば、モタモタしているうちにどんどん深刻な健康被害を受けてしまいます。
『咬まれないような予防』をするのが大切である理由も、咬まれてしまったあとの処置が難しいことにあります。

登山から帰宅後のチェック

登山からの帰宅後は、『シャワーや入浴』で、再度、体にマダニがついていないかどうか、よくチェックする対策を徹底しましょう。

どんなに防護・忌避対策をしても、何かの原因で服の中のどこかにマダニが入り込んでいる可能性は十分にありますので、咬まれてしまったことに『早期に』気付いて対処することが大切です。

厚生労働省は、特に以下の点を注意して確認するようすすめています。

  • わきの下
  • 足の付け根
  • 手首
  • 膝の裏
  • 胸の下
  • 頭部(髪の毛の中)

引用:厚生労働省「『ダニ』にご注意下さい」

登山後の体調変化に注意

登山後の体調変化にもしっかり注意しましょう
マダニに噛まれたことに気付けなくても、発熱などの症状で、マダニの可能性に気付くことができるのです。

マダニは、噛まれてもすぐに体調に変化があるのではなく、2、3日して忘れたころに『発熱』などの症状が出てきます。
2,3日を指標に、もし体に異変を感じたら、すぐに病院に行ってください。
厚生労働省は、受診時に医師に伝えることとして、以下の3つの点をすすめています。

  1. 野外活動の日付
  2. 場所
  3. 発症前の行動

引用:厚生労働省「『ダニ』にご注意下さい」

マダニの吸血のメカニズム

『マダニの吸血のメカニズム』を知ると、何故早期発見が重要なのかが、よく理解できます。
マダニは、のこぎりのような「ギザギザ」な歯を持ち、外側のギザギザが、咬むと抜けなくなるような『ストッパーの役割』を果たしています。
次の動画から、「どのようにマダニがあなたの肌に突起物を突き刺すか」に注目してください。

動画:Youtube 「What Makes Ticks Stick? A Mouth Like a Ratchet | The New York Times」

マダニも一度付着したら、振り落とされないように必死なんですね…

3-5 「もしもマダニ咬まれたら」を知っておく

「もしもマダニに咬まれたら?」を事前に知っておくことは非常に重要です。

事前に知識を身に着けておくことで、「やってはいけないこと」を瞬時に判断することができ、「取るべき行動」へと即座に動くことができます。

絶対にやってはいけないこと

マダニに咬まれたとき、絶対にやってはいけないことは、「無理やりとる」ことです。

無理に引き抜いても、マダニの突起物が体内に残ってしまい、それが原因でより感染の危険が高まり、重篤な症状を引き起こすことがあるからです。

マダニが皮膚についているのを見つけた場合、どうすべきかについて八尾市は次のように解説しています。

吸血中のマダニが皮膚についているのを見つけた場合、無理に引き抜くとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させる恐れがあるため、医療機関で除去、洗浄などをしてもらうようにしましょう。
 
引用:八尾市公式ホームページ「マダニが媒介する感染症に注意しましょう!」 https://goo.gl/hgd5Aa

マダニに咬まれると肉眼ではっきり見ることができるので、気持ちの悪い虫が体に付いているのを見たら、反射的に取り除こうとしてしまうかもしれませんが、じっとこらえてください。
ちょっと気持ちが悪いですが、冷静な判断が必要なんです。

すぐに取るべき行動

マダニに咬まれてすぐに取るべき行動は、『皮膚科』に行くことです。

皮膚科で、『マダニに咬まれたことを報告』すれば、体内に突起物が残らないよう、専門知識の元、上手にマダニを取り外してくれますし、咬まれた部分を消毒してくれますので、『感染症の心配』もなくなります。
「たかがダニで病院!?」
と思うかもしれませんが、『そのダニによって何百もの人が命を落としている』という事実を、忘れてはいけません。
命にかかわることなので、「慎重すぎるくらい」がちょうどいいかもしれませんね。

まとめ

今回は、「危険なマダニから身を守るための登山時の対策法」について解説しました。
登山時は、「事前に」マダニに備えた服装をし、「マダニに有効な」忌避剤を防護手段に組み合わせることでしっかり対策できます。
加えて、「登山後も気を抜かない」でマダニが衣服や身体についていないか注意しておき、もし「咬まれていることがわかったならすぐに病院に」行きましょう。
登山するにあたって、マダニに対しての正しい知識と対策方法がしっかりと身についたと思います
私が子供のころ、飼っていた犬にマダニが付いていたことがありました。
もっとも当時は「マダニ」とは知らず、犬のためにとってあげようと、丁寧に一個一個「素手で」とっていました。
今思えば、その行為は犬にとっても自分自身にとっても非常に危険な行動だったんですね。
『知識の欠如』というのは、怖いものです。

皆さんも、ぜひ正しい知識の元に安全なマダニ対策をして登山を楽しんでくださいね。