「大切に育てている自家栽培の野菜が、ときどきイノシシに食い荒らされてしまう…」
「収穫目前だったもち米の水田が、イノシシに荒らされてメチャクチャになった…」
「竹やぶにイノシシが入り込んで、おいしいタケノコがほとんど食べられてしまった…」
「キャンプ場に宿泊したとき、朝起きると、イノシシがゴミをあさっていた…」
「夜、玄関を出て庭のライトを消しに行ったら、イノシシが目の前の花壇を荒らしていた…」
あなたはこれまで、上記のような“イノシシ被害”を体験したことがありませんか?
なかでも、決まった家や土地にイノシシが現れるケースでは、イノシシが“エサ場”を覚えてしまうため、被害が長期化しやすい傾向にあります。

大切な作物や植物がイノシシに荒らされる前に、早く対策を講じておきたいですよね。

イノシシ被害にお悩みの方に向けて、今回は“初めてでも自力で実践できる『電気柵』を使ったイノシシ防除法”を紹介します。

これから紹介する防除法を実践していただくと、たとえ素人であっても、畑に忍び寄るイノシシの侵入を、30,000円以内で完全に防除できるようになります。

まず“イノシシ防除に、なぜ電気柵が1番効果的なのか?”について、夫の友人から伺った見解をお伝えします。

次に“業者も推奨する電気柵の設置方法”について、順を追って詳しく解説いたします。

この記事を読むと、あなたは大切な作物をイノシシから完全に守ることができるようになり、今後も2度と、イノシシ被害に悩まなくて済むようになりますよ。

ぜひ最後までご覧いただき、ご家庭での防除にお役立てください!

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1 イノシシの侵入・被害は『電気柵』で完全に防除できる

イノシシの侵入・被害は『電気柵』を設置することで完全に防除できます。

電気柵から流れる電流は、イノシシの“強い食欲”を圧倒してしまうほど強い刺激なんです。

ちなみに「もっと安くて済む防除法はないか?」についても、夫の友人に質問してみました。

私「ネットで調べたんですが、金網しか使っていない人もいるみたいですね。金網だけではダメなんですか?」
友人「ただの金網だけでは、イノシシが下の土を掘って、そこにできたすき間から畑にしてしまう恐れがあるんだよ」
私「へぇ~。それじゃぁ、忌避(きひ)剤※とかを撒いても効果はないんですか?」
※忌避(きひ)…嫌って避けること

友人「残念ながらあまりないかなと思う。効果があったとしても、極めて一時的であることが多いね。」

友人「ほとんどの忌避剤は“イノシシが嫌う匂い”によって侵入を防除するという目的なんだ。」
友人「だから、時間が経って匂いが消えれば効果も消える。雨なんか降れば、薬剤が土壌から流れて消えてしまうから、防除効率はあまりよくないんだよ。
私「じゃぁ『電気柵』が1番効果的な理由は何なんでしょう?」
友人「(少し呆れ笑いで)それは、イノシシが人間と同じで“電気の刺激”に弱い生き物だからさ。」

2 イノシシは“電気の刺激”にとても弱い

イノシシの身体に強い電流が伝わると、体表に一時的なショックが起こり、ビックリしてその場を離れていきます。

本来、イノシシはとても臆病な生き物なのですが、多少の苦痛であれば、気にせず食べ物に向かっていきます。

ですから『ただの金網』や『匂いで避ける忌避剤』といった“刺激が弱い防護対策”だと、イノシシの“食欲”が“恐怖心”に勝ってしまうことが多いんですね。

  • ネットは地形を選ばず設置が容易ですが、農作物が見えるとイノシシは侵入しようとするため、イノシシから畑が見えないような柵(高さ1m以上)の設置をおすすめします。
  • イノシシは重さ50~70kgの石を動かしてしまうくらい鼻先の力が強いため、柵の下にちょっとした隙間があると、鼻先を押し込んだり、土を掘ったりして、簡単に侵入してしまいます。そのため地面との隙間がないように設置し、しっかりと固定することが大切です。

神奈川県三浦郡葉山町ホームページ『イノシシの出没にご注意下さい』より引用

『電流』のように“身の危険を感じるショック”を体験すると、どんなにお腹がすいていようとも、それ以上作物を狙おうとしなくなります。

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3 駆除業者は電気柵の設置を推奨している

イノシシ対策に特化している害獣駆除業者も、ホームページなどで“イノシシ対策には電気柵設置が効果的”であることを訴えています。

また、業者だけでなく“行政”も電気柵の設置を推奨しています。

皆さんのお住まいの地域によっては、市役所や区役所、役場などが、住民に電気柵の設置を推進(すいしん)しているところもあるんです。

今後の町の対応
①わなの設置を増やします
・今ままでは、農作物の被害防止の為、電気柵の設置やそれに伴った箱わなの設置を主として来ましたが、街中でのイノシシの出現が増えて来ていますので、こうした場所への設置を増やしてまいります。

 
千葉県長生郡一宮町ホームページ『イノシシにご注意を!』より引用 https://goo.gl/AodQGt

以下の動画をご覧いただくと「なぜ駆除業者も行政もそろって、電気柵の設置を推奨するのか?」がわかります。

「電気柵に当たって逃げるイノシシ」
(1:10あたりから再生されます)

「電気柵の刺激1度受けたことのあるイノシシの行動」
(1:52のあたりから再生されます)

1つ目の動画では、電気柵に鼻が当たったイノシシが悲鳴を上げて一目散に逃げています。

2つ目の動画では、以前に電気柵を触ったことのあるイノシシが、ヨリ線(電線)の存在に気がついてUターンしています。

電気柵は、イノシシ除けにもってこいであると言えるでしょう。

3-1 防除の費用を助成している地域もある

さらに、お住まいの地域によっては、行政機関が“電気柵の設置にかかる費用の一部”を助成してくれる地区もあります。

質問
イノシシ対策の補助金について教えてください。

 
回答
 イノシシの被害対策については、金網(ワイヤーメッシュ)、電気柵などの侵入防止柵の設置に係る資材費に対して、市が標準経費の3分の2を助成しています。
 事業の採択は、申し込みのあった年度の次年度以降に実施する事業であることとともに、集団で被害対策を進めることが効果的であることから、複数の農家で組織する被害対策協議会を設置していただき、進入防止柵を設置する際は、隣接した複数の農地を集団的に囲うことを基本的な補助要件としております。
 当該事業に対する補助を希望される場合は、以上の点を考慮し集落の実行組合や農地の隣接所有者などとご相談いただき、旧市域の方は農林水産部農業振興課、新市域の方は各総合支所産業建設課へ申請してください。

 
鳥取市役所ホームページ『よくある質問(FAQ)とその回答』より引用 https://goo.gl/qhorK6

助成金制度を活用すれば、電気柵設置にかかる金銭的な負担を減らすことができますね。

電気柵を設置する前には必ず、お住まいの市区町村にある行政機関(市役所など)に電話で“助成制度の有無や詳細”を問い合わせてください。

4 『電気柵』効果的な最強のイノシシ対策グッズ設置方法

ではさっそく、電気柵設置の方法を順番にお伝えしていきます。

順番を間違うと「電流が流れない」「感電した」などのトラブルにつながる恐れがありますので、必ず1つ1つ順を追って作業に当たってくださいね。

ちなみに、インターネットの通販サイトには、いろいろな電気柵システムが販売されています。

その中で今回、夫の友人に勧められたのは、『ガラガー社製の電気柵システム』『アルミス 電気柵セット』の2種類でした。

 
私の両親は、必要器具がほぼ全てセットになっている『アルミス 電気柵セット』の方を購入しました。

 
『アルミス 電気柵』セットであれば、私の父がそうであったように、電気柵の設置をすぐさま開始することができます。

ただし、電気柵を設置する際には以下の道具も必要となりますので、一緒に用意してくださいね。

【電気柵セット以外に用意するもの】

  1. ゴム手袋
  2. ビニールテープ
  3. 15センチ長の角材
  4. 電源本体を畑に立てる際の角材(90㎝以上)

ちなみに『アルミス 電気柵セット』には、違うサイズの製品もラインナップされていますので、土地の広さに応じた製品を購入することができます。

また、電源システムの種類も『電池式』『ソーラー式』の2つから選ぶことができます。

 
『ソーラー式』は、大手『サンパワー社』が約21%の蓄電効率アップを実現した“Xソーラーシリーズ”を発表するなど、急速な進化を遂げていますね。

 
しかしながら、私の両親は昔から慣れ親しんでいる『電池式』の方をチョイスしました(笑)
『アルミス 電気柵セット』には、単1電池8本が必要です。

電池はセットに付属していませんので、別途ご用意くださいね。

ステップ1.電気柵を設置する場所の確認・整備

まずは、以下のケースに合わせて、電気柵を設置する場所の確認・整備を行ってください。

場所の確認や整備を怠ると、漏電してしまい、イノシシに電流が伝わらなくなる可能性がありますので、徹底して作業に当たりましょう。

  • 雑草が生い茂っている場合
    →ファームコード(ヨリ線)が草に触れると漏電してしまい、イノシシに電流が伝わらなくなるため、雑草は必ず刈り取ってから電気柵を設置してください。
  • 土壌が乾燥している場合
    →土が乾いていると、電流の力が弱くなってしまうため、水をまいてから電気柵を設置してください。

しかし、水たまりができるほど水をまいてはいけません。

万が一、電気柵のコードが緩んで地面に落ち、水たまりに触れると、漏電が起こって電流が弱くなってしまいます。

また、以下の注意点もあります。

  • コンクリートやアスファルトの間近に電気柵を設置する場合
    →コンクリートやアスファルトは通電性がなく、電気柵の作用を妨げる可能性があるため、30㎝以上離れた場所に電気柵を設置してください。
    どうしても離すことができない場合には、コンクリートやアスファルトと畑の境目にトタンを設置し、トタンを貫いてFRP支柱を立てると、電流は正常に流れます。
  • 傾斜地のすぐ下に柵を設置する場合
    →イノシシは、傾斜地の高いところから畑に飛び降りて侵入する可能性がありますので、FRP支柱は斜面から離して設置してください。

電気柵を設置する場所の確認・整備が終わったら、次のステップに進みます。

ステップ2.『FRP支柱』を設置する

場所の確認・整備が終わったら、電気柵の支柱である『FRP支柱』を地面に30㎝以上の深さで差し込み、3~4m間隔をあけながら土地を囲んでいきます。

土地を支柱で囲むと、『ファームコード』というヨリ線(電線)を張ることができるようになります。

ちなみに、土地を四角く過酷場合、“柵の角の部分のFRP支柱”には、他の部分よりも強い負荷がかかります。

囲いに角ができる場合、角のFRP支柱にだけ『2.15センチ長の角材』を、支柱と土の接地面に括(くく)り付けて補強してください。

ステップ3.『ファームガイシ』を取り付ける

『FRP支柱』を立て終わったら、『ファームコード』を括り付ける前に『ファームガイシ(ガイシ)』という部品を『FRP支柱』に取り付けていきます。

『ファームガイシ』とは、『ファームコード』を支柱に括り付けるための部品です。

1本の『FRP支柱』に対して『ファームガイシ』を2個、取り付けます。

支柱の地面から20cm程度の高さ(イノシシの鼻の高さ)に1個目を、さらにそこから20cmほど高い場所にもう1個のファームガイシを取り付けます。

全てのファームガイシを取り付けたら、次の作業に移ります。

ステップ4.『電流コード(ファームガイシ)』を巻きつける

『ファームガイシ』を設置したら、畑の出入り口にしたい場所を起点に『ファームコード』を取り付けていきます。

支柱に巻き付ける『ファームコード』が、イノシシの侵入から作物を守ってくれます。

「畑の出入り口にしたい場所」から巻きつけ始めるのは、最後に“出入り口用の部品”である『ゲートガイシ』と『ゲートクリップ』を取りつけるためです
出入り口にする場所まで戻ってきたら、『ファームコード』の端に『ゲートクリップ』を、『FRP支柱』に『ゲートガイシ』を取り付けて、2つをつなげます。

これで、電気柵の基本システムが出来上がりました。

最後に、電気柵の『電源本体』と『アース棒』という部品を設置していきます。

ステップ5.『電源本体』と『アース棒』を設置する

最後に『電源本体』と『アース棒』を設置しますが、その際は感電を防ぐために『1.ゴム手袋』を着用してください。

『電源本体』と『アース棒』を設置すれば、電池を入れてすぐに電気柵を起動することが可能となります。

まずは『4.電源本体を畑に立てる際の角材(90㎝以上)』を地面に刺して埋め込み、上部に『電源本体』を取り付けます。

次に『電源本体』に『出力コード』という付属品を取り付け、『ファームコードへ』とつなぎます。

『出力コード』を『ファームコード』に巻き付けたら、交差部分に『2.ビニールテープ』を巻き付けて絶縁します。

次に『電源本体』と『アース棒』のコードをつなぎ『アース棒』をそれぞれ2.5mほど離して、地面に埋め込んでください。

※ちなみに『アース棒』とは、電気柵に漏電が起こった際、感電や火災を防ぐために設置する部品です。

最後に、電池を電源本体にセットして、『ファームコード』の“人目に付きやすい場所”に付属の『危険表示板』を取り付けます。

これで、電気柵システムの設置は完了です。

電気柵の設置には『危険表示板』の設置が義務付けられていますので、忘れずに必ず取り付けてくださいね。

5 業者に依頼するよりも格段に低コストで済む

『アルミス 電気柵セット』を使うと、業者に依頼した場合よりもずっと低コストで電気柵を設置することができます。

駆除業者に依頼した場合には、ただの鉄柵を設置してもらうだけでも、150,000~200,000円もの料金がかかってしまうんです。

駆除業者に依頼すると、『材料費』だけでなく『技術料』もかかってしまうんですよね。

『アルミス 電気柵』の価格は、一番小さいサイズである『100m×2段張りセット』で20,260円。

最大サイズ『500m×2段張り』で101,000円と、囲いたい土地の広さに応じて、価格は上がりますが、自分の技術で設置できるため、セット購入の費用しかかかりません。

イノシシ被害から守りたい土地が狭ければ狭いほど、ご自身で施工をされた方が格段に安上がりですよ。

まとめ

今回の記事では、初めてでも自力で実践できる“電気柵を使ったイノシシ防除法”を紹介しました。

  • イノシシの防除には、強烈な刺激を与えることのできる『電気柵』の設置が1番効果的である
  • お住まいの地域によっては、電気柵設置の費用の一部を助成してくれるところもあるため、事前に市区町村の窓口へ問い合わせてみること
  • 電気柵の設置には『草を刈り取っておく』『水分のある地面に設置する』など、一定の条件を満たす必要がある
  • 自力で実践した方が、業者に依頼するよりもずっと安く済む

イノシシ被害が起こる背景には『イノシシを排除する人間』以外に『イノシシにエサを与える人間』もいるという難題が潜んでいます。

「イノシシを忌み嫌う人」がいる一方で「イノシシが可愛く見えて仕方がない!」という人も少なからずいるんですね。

でも「人間がエサをくれる!」と知っているイノシシが増えると、作物被害が拡大する恐れがあります。

彼らと距離を保ちながら共存するには“野生動物の食糧事情”に“人間の情け”で介入しないよう、心がけていくべきです。