ある日突然、ベランダに蜂が飛び交い始めたら、あなたもご家族もさぞ驚かれることだと思います。ベランダにいる蜂が、どこから飛び立っているかを確認してみてください。
通気口や、エアコンの室外機、一軒家の場合には、屋根裏や軒下を蜂が出入りしている場合には、そこに蜂が巣を作っている可能性が高いので、早い段階で駆除した方がよいでしょう。
でも『蜂の巣の駆除』って、素人が行うとなるとチョット怖いですよね?できれば業者さんに駆除してもらいたいものですが、駆除業者に蜂の巣撤去を依頼した場合には、あなたが費用を支払わなくてはなりません。
ただ、あなたが住んでいるお部屋が、大家さんや管理会社の持ち物である場合、つまりあなたが毎月家賃を支払って住んでいる場合ですと、大家さんや、管理会社が、場合によっては蜂の巣を駆除してくれる可能性がありますので、あらかじめ緊急連絡先を把握しておきましょう。
お住まいの地域によっては、市区町村の行政機関が蜂を無料駆除してくれるケースもあります。
今回の記事では、自宅に蜂が巣を作っていて困っているあなたへ、『あなたが支払う費用を最低限に抑えて蜂の巣を撤去する方法』についてお伝えしたいと思います。
この記事をご覧いただくと、あなたはお住まいの市区町村や、大家さん・管理会社に自信をもって“蜂の巣駆除”をお願い(相談)できるようになりますよ。
蜂の巣駆除にかかる料金についても参考までにお知らせしていますので、ぜひとも最後までお読みください。
1 蜂の巣の撤去にかかる平均料金
あなたは、蜂の巣を業者さんに駆除してもらった場合、いくらくらいの料金がかかるかをご存知ですか?
蜂の巣の駆除を業者さんに依頼すると、巣の大きさによっては数千円で済む場合と、数万円もかかってしまう場合とがあります。
蜂の巣駆除の料金が、数千円から数万円の価格帯で大きく変動するのは、蜂が撤去困難な場所に巣を作ってしまうためです。特に、屋根裏のように薄暗く狭い場所での撤去作業は、専門業者の手にかかっても長い時間が必要となります。
また、巣を作っている“蜂の種類”によっても料金は変動するんです。以下で、蜂の種類別にかかる、平均的な駆除料金を紹介します。
1-1 ミツバチ:8,000~38,000円程度
蜂の巣が、以下の写真に似て白っぽい色をしているなら、それは“ミツバチの巣”です。
※画像は床下に作られていたミツバチの巣
ミツバチは、白っぽい板状の巣(巣板)を幾重にも並べて営巣(えいそう)※を行います。
※営巣(えいそう)…生き物が巣を作る様子
ミツバチの巣の駆除には、だいたい8,000~38,000円程度の料金がかかります。8,000円で済むのは、「巣がまだ小さく、巣にいるミツバチの個体数が少ないケース」でしょう。
ミツバチの場合には『分蜂(ぶんぽう)』といって、巣の規模が大きくなり、ミツバチの数が増えると、巣にいる個体がある程度まとまって他の場所へ新たに巣を作る習性があります。
駆除する巣の数が増えれば、料金が20,000円以上跳ね上がる可能性があります。
ミツバチは、1度巣を作ると、同じ巣を数年間使い続ける蜂ですので、できれば巣が大きくならないうちに撤去したいところです。
1-2 アシナガバチ:8,000~22,000円程度
蜂の巣が以下の写真にある巣に似ているのなら、それは“アシナガバチの巣”であると考えてよいでしょう。
アシナガバチは、下方に巣穴が露出するタイプの巣を作ります。
アシナガバチの巣の駆除には、だいたい8,000~22,000円程度の料金がかかります。ただし、アシナガバチはミツバチと違って巣を『使い捨て』する蜂であり、なおかつ分蜂を行うようなこともありません。
12月になると、巣にいたアシナガバチは全て死んでしまいますので、いずれ安全に巣を撤去できるようになるんです。
巣が自宅の高い場所にあって、あなたやご家族の近くに蜂が飛んでこないのであれば、全ての個体が死滅する12月まで待ってから、巣を自力で撤去するのもいいかもしれません。
ただし、次の年に女王蜂となる蜂は、死滅することなく山林のどこかで冬眠して、冬眠から目覚めると、前年度と同じ場所へ戻ってきて巣を作りますので、次の年に巣を作られたくない場合は、今シーズン中に撤去しておいた方がよいでしょう。
1-3 スズメバチ:8,000~39,000円程度
以下のような巣がある場合、または地中からスズメバチが飛んで出てくるのを見つけた場合には、スズメバチが巣を作っていると考えてください。
スズメバチの巣は、開放部に作られる場合は初期段階でトックリをひっくり返したような形態であり、そこから円形へと成長していきます。また、オオスズメバチについては地中に巣を作る機会が多い傾向にありますので、上方ばかりではなく、地面の方も注意して巣を特定しなくてはなりません。
ちなみに、スズメバチの巣の撤去には、だいたい8,000~39,000円程度の料金がかかります。
スズメバチは、ミツバチやアシナガバチと違って攻撃性が強く、あなたやご家族が刺されてしまう危険性が大変高いので、たとえ高所に巣を作っている場合にも速やかに撤去を行った方がよいです。
2 市区町村での対応は?
冒頭でお話しした通り、お住まいの市区町村によっては、蜂の巣の撤去に協力してくれる地域もあります。以下で、どんな対応をしてくれるのかについて“4つのパターン”を紹介します。
パターン1.撤去を実施してくれるケース
「小平市」や「長崎市」のように、蜂の巣を職員が撤去してくれるか、もしくは業者に依頼して撤去してくれることがあります。
ただし、以下のように“何かしらの条件”が付く場合が多いのと、アシナガバチに関しては自力撤去を推奨しているところが多いため、対応している蜂の種類にも注意して、巣の撤去を依頼する必要があります。
東京都小平市の場合
スズメバチの巣の駆除
球状になったスズメバチの巣の駆除は市で実施しています。ただし、初期の作りかけの巣は自己駆除してください。
基本的には居住している場所にできた巣が対象になります(集合住宅にできた場合は、管理組合や管理会社等に連絡してください)。
長崎県長崎市の場合
スズメバチ駆除実施事業
スズメバチの巣に限り、次の要件に該当する場合は市費で駆除しますので、市環境政策課又は最寄の行政センターにご相談ください。
1.持家であり、市民税が非課税である世帯。
2.持家であり、生活保護を受給している世帯。
あなたの家にある蜂の巣や、ご家庭の状況が、市区町村が掲げている条件に該当する場合には、実費費用を捻出することなく、蜂の巣を撤去してもらうことが可能となります。
パターン2.駆除料金を助成してくれるケース
蜂の巣は撤去してくれないものの、「姫路市」や「小牧市」のように蜂の巣駆駆除を業者に依頼した場合にかかる費用を助成してくれる市区町村もあります。
兵庫県姫路市の場合
補助の対象者
駆除の依頼者(費用を負担したかた)に駆除費用の一部を助成します。
補助額
1件につき、駆除費用の2分の1(ただし、平成21年度から一部変更があり、駆除作業の実施日により、5000円または7000円が上限となります)を助成します。
駆除作業の実施日 | 上限額 |
---|---|
4月1日から7月31日まで | 5,000円 |
8月1日から翌3月31日まで | 7,000円 |
兵庫県姫路市公式HPより引用:https://goo.gl/f0ovy
愛知県小牧市の場合
補助金額
駆除業者に依頼して行ったスズメバチ等の営巣の駆除に要した経費(駆除を行うために建築物等の一部を損壊する必要が生じた場合の費用及びその復旧に係る費用を除く。)とします。
補助対象経費の2分の1以内の額(100円未満の端数が生じたときは、その端数を切り捨てる。)を補助金として交付します。
ただし、その限度額は、駆除した巣の数にかかわらず5,000円です。
助成金制度では、業者駆除にかかった料金の1/2程度の料金を助成してもらえるケースが多いです。
ただし、これもまた多くの市区町村に共通することですが、助成金の上限が定められていることも多いため、駆除を依頼する当事者の費用負担が大きくなってしまう可能性は考えられます。
パターン3.業者の紹介にとどまるケース
駆除・助成金制度はないけれど、「長井市」のように、信頼できる害虫駆除業者を紹介してくれるというケースです。
また、神奈川県相模原市のように、業者の紹介だけでなく、自力駆除の際に使用する防護服や殺虫スプレーの貸し出しを行っている地域もあります。
神奈川県相模原市の場合
一般家庭の住宅や敷地内にハチの巣(ハチの種類により対応が異なります)が出来て困っている人の相談や、殺虫スプレー、防護服の貸し出し(要予約)や、専門の業者を紹介しています。
神奈川県相模原市公式HPより引用:https://goo.gl/DKCwXm
お住まいの地域において、どのような補助制度があるのかを把握することが大切ですので、まずはあなたの住まいのお近くにある行政機関に電話で問い合わせてみましょう。
パターン4.業者紹介もしていないケース
残念ながら、行政機関が「業者探しも自分で行ってください」というスタンスを取っている地域もあります。
その場合、あなたがご自分で蜂の巣駆除の業者を探さなくてはなりません。
ただし、今お住まいのご自宅が借家である場合や、アパートやマンションである場合には、大家さんや管理会社が親切に協力・対応してくれることもあります。また、たとえ大家さんや管理会社が協力的ではなくても、彼らが“責任を持って管理しなくてはならない場所”に蜂が巣を作っている場合には、あなたが自分で駆除費用を支払う必要がなくなるんです。
3 大家さんと管理会社の責任は?
大家さんや管理会社は、法律上『賃貸人(ちんたいにん)』と呼ばれます。反対に、家や部屋を借りている私たちは『賃借人(ちんしゃくにん)』という立場に該当します。
民法第606条1項には、以下のような定めがあります。
民法第606条1項
1.賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
WIKIBOOKSより引用:https://goo.gl/7AZM09
そのため、私たち賃借人は、自宅に蜂の巣ができてしまった場合に、それを大家さんや管理会社へ相談することができる権利を有しているということになります。
3-1 共有部分は駆除してもらえる
アパートやマンションの通路や出入り口、庭など、住民みんなが同じく使う“共有部分”については、大家さんや管理会社が問題管理を行う責任を負っています。
もしも、畑に植えられている樹木の根元に蜂が巣を作った時には、大家さんや管理会社が巣の駆除を担当しなくてはならないのです。
3-2 専有部分は自力駆除になることも
反対に、自室のベランダは住民個々の“専有部分”となるため、大家さんや管理会社によっては、自力駆除を求めてくる場合があります。
ただし、あなたが家賃とは別に『管理費』や『共益費』を別途支払ってる場合には、たとえ専有部分であっても大家さんや管理会社に“蜂の巣を駆除する責任”が生じます。
なぜなら、管理費も共益費も『大家さんや管理会社がアパートを管理するために必要な費用』という意味合いで徴収している料金であるためです。
3-3 大家さん・管理会社によって対応が異なる
借家やアパート・マンションの“蜂の巣問題”は、大家さんや管理会社の対応1つでスムーズに終わることもあれば、対応が遅れて長期化してしまうこともあります。
長期化すると、蜂の巣はだんだんと大きくなり、駆除費用も大きくなってしまう可能性がありますので、巣が小さい場合には、自力で撤去するのも1つの手段であると言えるでしょう。
万が一、大家さんや管理会社が蜂の巣を駆除してくれなくて、弁護士に訴訟を依頼する場合や、自分で業者に依頼した場合、結果的に高額な費用を捻出しなくてはならなくなるからです。
4 蜂の巣を自力で駆除する方法
蜂の種類や現在の巣の状況をしっかり見極めておけば、蜂の巣を自力で駆除することは可能です。
自力駆除可能かどうかの判断は「蜂の巣退治で素人が作業可能な4つの条件と難易度が高く危険な駆除」、自力駆除の方法は「初めてでも安心!簡単・最安、自分で出来る蜂の巣駆除法完全ガイド」で詳しく書いています。ぜひ合わせてご覧ください。
まとめ
今回の記事では、あなたが支払う費用を最低限に抑えて蜂の巣を撤去する方法について考察しました。
- ミツバチの巣の撤去を業者に依頼すると、およそ8,000~38,000円程度の料金がかかる
- アシナガバチの巣の撤去を業者に依頼すると、およそ8,000~22,000円程度の料金がかかる
- スズメバチの巣の撤去を業者に依頼すると、およそ8,000~39,000円程度の料金がかかる
- 市区町村によっては、駆除を請け負ってくれたり、料金の一部を助成してくれたり、業者の紹介、駆除道具の貸し出しを行っている地域もあるので、まずは電話で連絡してみること
- 大家さんや管理会社は、基本的に建物の修繕を行わなくてはならない(民法第606条1項より)
- 共有部分にある蜂の巣は、大家さんや管理会社が撤去しなくてはならない
- あなたが家賃とは別に『管理費』『共益費』を支払っている場合には、ベランダのような専有部分にある蜂の巣も撤去してもらえる
ミツバチ・アシナガバチ・スズメバチの中では、スズメバチがもっとも狂暴で危険性が高いですが、巣がトックリ状の初期段階にあれば、巣の中にいるのは女王蜂と幼虫だけである可能性が高いため、自力駆除が可能となります。
もちろん、どの蜂の巣を自力駆除する場合も、蜂の針が皮膚に届かない分厚い服装で身をしっかりと防護した上で、作業に当たってくださいね。
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