あなたは、蜂の巣があったらすぐに駆除したいと思いますか?それとも蜂との共存は可能だと思いますか?

妻の友人に、「蜂と共存するべきかそれとも駆除するべきか」というジレンマに陥った人がいました。

彼女は30代の女性で、旦那さんと小さな息子と3人暮らし。
最近一軒家を購入し、家族と共に幸せの日々を送っていました。

しかし、そんな彼女にもひとつ不安なことが、、、
ある時、彼女の家のベランダのかなり窓に近い天井に、蜂が飛び回っているのを目にしました。

よくよく覗いてみると軒下の天井から、1センチくらいの細長い茶色いくぎのような突起物ができていて、どうやら蜂は巣作りしている模様。

「どうしよう?刺されないかな?」」

始めはコワイと思い、恐る恐る外を見ていましたが、やがて母蜂が毎日けなげに巣を抱きかかえるようにして、必死に巣を守っているのを見ているうちに愛着がわいてしまったようです。

「蜂を、このままそっとしておいてもいいのかな?」
こんなことを、考えるようになっていました。

一方で、こんな不安もありました。
「でも今のところ問題ないけど、蜂が大家族になって、布団や洗濯物を干せなくなってしまったらどうしよう?」

そんなことをいろいろ悩んでいて、ふと何気なくテレビを見ていたらちょうどスズメバチの特集が。

そこでは、スズメバチの巣の駆除を題材にしていましたが、心優しい彼女はこんなことを考えました。

「巣を取った後、何匹か駆除を逃れた蜂がいるけどこの蜂ってこの後どうなっちゃうの?
生き残って再び女王蜂を決めて新しく巣をつくるのかな?
もしくは近くの巣に合流するのかな?
でももし1度巣を駆除してしまうと、皆殺しになってしまうなら、ちょっとかわいそう…。」
そこで、妻を通して害虫(害獣)駆除専門ライターである私に、「蜂を殺すのではなく、生活に支障が出る場所のみに巣を作らせない方法を教えてほしい」という相談をされました。

「蜂との共存」
これは私たち全てが、一度は考えた方が良いテーマといえるかもしれません。

「生物多様性を尊重する姿勢」は、年々高まっています。

例えば、中日新聞が2013年10月23日は、「浜松市が(スズメバチ)の駆除費用を一律3150円補助する制度を廃止した」と報じています。

「市が『進んでスズメバチの命を取るべきではない』と生物多様性を尊重する姿勢に方針転換し、市民に自己防衛を促す」というのがその理由のようです。

 
引用元:JCASTニュース「スズメバチ、駆除か共存か 浜松市の補助廃止きっかけに論議」より https://goo.gl/QTQOwZ

浜松市がとった対応の是非はさておいて、あなたも「ハチを殺さず、かつ人間に害が無く共存できる」方法があるあるとしたらそれを知りたいと思われませんか?
そこで今回の記事は、できるだけ蜂を殺したくないという人に向けて、ハチとの共存するために必要な情報をすべてお伝えします。

『どこに』巣を作っている、どの『種類』の蜂が、『いつ』危険なのかを知っていれば無意味に蜂を殺さずにすみます。

妻の友人の家の近くにいた蜂は、「危害を加える可能性は低い」ということがわかり、そのままにしておきました。

彼女たちは蜂に刺されることはなく、やがて、秋が深まるころには蜂は姿を消してしまったようです。

「あの時蜂を殺さなくて本当に良かったです。息子と一緒に命の大切さ学ぶことができました。」
と、わざわざ感謝の電話をくれましたが、私のほうこそ学ぶことが多かった経験でした。

蜂との共存は、可能です。

どうぞ、あなたもこの記事を読んで、蜂を駆除する前に「ハチとの共存する可能性」について検討してみてください。

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1 蜂の種類

蜂にはたくさんの種類がいますが、全ての蜂が危険なわけではありません。

蜂の中には、「全く害のない蜂」もいれば、「刺激しなければ危害を与えない蜂」もいます。

しかし、「駆除しないと危険な蜂」もいます。

ではどの種類の蜂が害を与える可能性があるか、またその判断方法を説明します。

1-1 全く害のない蜂

蜂に害があるかどうかを調べるためには、『蜂の腰』に注目しましょう。

胸部と腹部の細さにくびれがなく、かわりがない蜂は、人に危害を与えませんので共存が可能です。

※害のない蜂は広腰亜目(こうようあもく、ひろこしあもく)と呼ばれます。

広腰亜目の蜂は、腰以外は蜂と一緒で「針」もありますが、人を刺すためではなく産卵のために使うので危険性がありません。

※駆除の必要がない無害な蜂の種類は『もう蜂の巣は作らせない!環境に優しい蜂の巣作り防御法 駆除の必要がない蜂』でさらに詳しく紹介していますので、合わせてお読みください。

1-3 危害を加える可能性のある蜂

「スズメバチ」、とくに「オオスズメバチ」はあなたに危害を加える可能性がある蜂です。

胸部と腹部がくびれている細腰亜目のこれらの蜂は、巣に近づくだけでも襲ってきます。

これらの蜂が、あなたの家の近くにいる場合、かわいそうですが駆除する必要があるかもしれません。

蜂の命より、あなたやあなたの家族の命のほうが大切です。

ただし、ある『条件』を満たしていると共存が可能な場合があります。

2 蜂と共存する方法

危害を加える可能性がある蜂の巣があったとしても、全て駆除しなければならないというわけではありません。

『時期』や『場所』によっては、ほっておいてもよい場合があります。

では危害を加える可能性がある蜂との、『共存可能な条件や方法』を紹介します。

2-1 服装や匂いに注意する

まず蜂との共存ができると判断した場合、出来るだけ蜂に刺されないために、「服装」や「匂い」に注意して下さい。

蜂は、黒い色に反応しますので、出来るだけ白か白に近い色の服を着るようにしましょう。

また蜂は、強い香りに反応しますので、香水やコロンを避け、代わりに防臭スプレーをかけるようにしてください。

黒い色の服を避け、強い香りや匂いがなければ、たとえあなたが巣に近づいてしまったとしても、蜂はあなたがいることに気づかないので、ハチが近寄って来て刺される心配が少なくなります。

2-2 蜂の習性を理解する

危害を加える可能性がある蜂でも、夏が終われば駆除する必要はないかもしれません。

蜂は、春に巣を作り始め、夏が活動のピークとなります。
そして、秋になると徐々に数が少なくなってきて、冬になると女王蜂を残してすべて死んでしまいます。

※ミツバチは、働き蜂も越冬しますが、冬の間は巣の中でじっとしています。

なので、「春や夏」に危害を加える可能性がある蜂がいるなら駆除が必要かもしれません。

しかし、「秋」になっているなら間もなく活動を終えますので、蜂たちをそっとしておいて、自分の生命を全うさせてあげるというのもひとつの方法です。

わざわざ人間が殺さなくても、次の年の女王候補を残して全ての蜂は、冬を越すことなく死んでしまいます。

なお、蜂が攻撃的になる時期や時間帯について『刺されない!作らせない!引き寄せない!蜂対策完全マニュアル 蜂が攻撃的になる時期や時間帯』で、より詳しく紹介されていますので、合わせてお読みください。

蜂の一年のサイクルと対処法

季節 蜂の活動 対処法
活動開始、巣作り 巣作り、拡大防止
活動ピーク 必要な場合駆除
活動が減少 ほっておく
活動中止 ほっておく

2-3 蜂の巣からどれほど離れているかを知っておく

蜂の巣から『2m以上』離れていれば、駆除する必要はありません。
蜂があなたを刺すのは、あなたが嫌いだからではありません。『巣を守ろうとするため』です。

なので、巣にあなたが近寄ってくると「巣を攻撃しようとしている」と判断し、刺してくることがあります。

しかし、蜂の行動範囲は巣から半径1km~5kmほどありますが、エサを飛んでいる蜂がわざわざ人を見つけて刺すことはほとんどありません。

以上の理由から、中野区保健所は「巣から2m以上離れていれば安全」とし、次のように訴えています。

「ハチは、樹木についた害虫をとる益虫でもあります。ただ怖がって駆除するのではなく、自然の中の一員として、ハチとどう共存するかを考えることも大切ではないでしょうか。」
 
引用元:中野区公式ホームページ「ハチとの共存も考えましょう」より https://goo.gl/WDvEly

それで蜂の巣を見つけたとしても、「そこから半径2m以内に、あなたやあなたの家族が通ることがあるかどうか」を、まず考えましょう。

危害を加える可能性がある蜂の巣が、半径2m以内にいるならそのままにしておくのは危険なので、「出来るだけその場所に蜂が巣を作らせないようにする」ということが大切です。

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3 生活に支障が出る場所に蜂の巣を作らせない方法

蜂と共存するということは、近くに一緒に住むということではなく、お互い安心できる距離で暮らすということです。

そのために、あなたの家族の生活圏内に蜂を呼び寄せないこと、また蜂の巣を作らせないようにする方法を紹介します。

3-1 環境を整える

香りは、蜂を呼び寄せます。

それで、強い香りがする洗剤や柔軟剤を使っていると、洗濯物をほしている時に、家の庭やベランダに蜂がよってきてしまうかもしれません。

巣の近くにいないとしても、蜂を直接触ろうとしたら刺されてしまう可能性があります。

実際、私の知人のなかにも、洗濯物を取り込もうとしている時に、アシナガバチがまぎれていて刺されそうになったという人もいました。

なので、とりわけ蜂の活動が活発な夏の時期は、香りを抑えた洗剤や柔軟性を使うことをオススメします。

蜂が嫌がる環境にする

蜂は匂いに敏感なので、蜂が嫌がる臭いをつければ、蜂はその場所に巣を作ろうとしなくなります。

蜂が嫌がる臭いの中には、「ハッカ油スプレー」、「木酢液(もくさくえき)」、「木クレオソート」などがあります。

なお、『もう蜂の巣は作らせない!環境に優しい蜂の巣作り防御法 環境を守りながら蜂の巣を駆除する方法』では、蜂が嫌がる匂いを含め、環境を考慮した蜂の巣作り防止方法について詳しくかかれていますで、合わせてお読みください。

このように注意していても、「危害を加える可能性がある蜂の巣」が、「生活圏内の半径2m以内」に、「すでに巣が作ってしまった場合」共存は難しいかもしれません。

蜂が巣を作りそうな場所をこまめに点検する

蜂が巣を作りそうな場所を毎日こまめに点検すれば、大規模な駆除をする必要がなくなります。

下記の図にあるような場所に、蜂は巣を作りますのでこまめに点検しましょう。

画像引用元:川崎市公式ウェブサイト「巣を作りやすい場所」より
画像引用元:川崎市公式ウェブサイト「巣を作りやすい場所」より
https://goo.gl/S6tzKl

蜂が巣を作りそうな場所がわかったなら、蜂が嫌がる環境にして、巣作りを防止してください。

この場合でも、「出来るだけ蜂を殺さないで蜂の巣を駆除する」ようにしたいと思います。

4 できるだけ蜂を殺さないで蜂の巣を駆除する方法

蜂が巣作りに専念しているときに、『女王蜂だけ』を駆除すれば、将来の何千匹という蜂を殺さずにすむでしょう。

スズメバチは、「4月~6月」には巣作りに専念しています。

この時期に、蜂の巣を作らせないための「殺虫剤」や「蜂捕獲」を使って、女王蜂を駆除して、巣作りを防止させましょう。

7月~9月の間は、多くの種類の蜂は活動のピークを迎え、攻撃的になります。

この時期に、あなたの生活圏内に巣を作っていたら、かわいそうですが蜂の巣を丸ごと駆除しなければならないでしょう。

※なお、殺虫剤や蜂捕獲器の使い方を含め、蜂を確実に駆除する方法については『もう蜂の好きにはさせない!蜂を確実に駆除する方法』でも詳しく紹介していますので、合わせてお読みください。

自分で駆除するか、駆除業者にお願いするかという判断基準や、信頼できる駆除業者を選ぶポイントなども記載していますので、あなたのお役に立てると思います。

4-1 蜂の巣が駆除されると、残された蜂はどうなるか

蜂の巣が駆除されると、残された蜂はしばらくの間以前巣にあった場所に戻ります。

この習性は「戻り蜂」といって、通常1週間から2週間するといなくなりますが、中には、再び同じ場所に巣を作ることがあります。

「蜂が嫌がる環境にする」で説明されているように、「ハッカ油スプレー」、「木酢液」「木クレオソート」などを以前蜂の巣があった場所につけて、蜂が再び巣を作れないようにしておきましょう。

まとめ

「蜂との共存」をテーマに、蜂の巣対策について考えてみましたが、いかがだったでしょうか。

危害を加える可能性がある蜂かそうでないかは、蜂の腰に注目しましょう。蜂の腰に変わりがなければ、人を刺すことはありませんので「共存は可能」です。

蜂の胸や腰がくびれていたら、あなたを刺す可能性がある蜂ですが、「秋」になると徐々に減少していくので駆除する必要はありません。

また、巣から「2m以上」離れていれば襲ってくる可能性が少ないため「共存は可能」です。

生活圏内から2m以内に蜂が巣を作らないように、また蜂を呼び寄せないようにするため、蜂が巣を作りそうな場所をこまめに点検して、蜂が好きな「洗剤」や「柔軟剤」の香りを避け、「ハッカ油スプレー」「木酢液」「木クレオソート」などを蜂の嫌がる臭いをつけましょう。

生活圏内に危害を加える可能性がある蜂の巣ができたら、できるだけ蜂を殺さないで蜂の巣を駆除するために、「4月~6月」の間に女王蜂だけを狙って、「殺虫剤」や「蜂捕獲」を使って駆除しましょう。

蜂との共存は、「巣との距離が2m」というのがキーポイントでした。

もし私たちがあえて、蜂の巣がある場所から2m近づかないようにするということができれば、多くの蜂と共存は可能です。

しかし、たかが蜂のためになんで人間が場所を譲らなければいけないのかと思うならそこまでです。

自分の庭を自由に行き来するために、駆除する必要が出てくるでしょう。

もちろん、蜂の命よりも人間の命や安全が優先されるべきことですが、できるだけ蜂を殺さないようにするためには、ある程度犠牲が求められるかもしれません。

妻の友人は、ベランダの近くに蜂が巣を作っていましたが、そこの窓を蜂のために開けることはやめたようです。

少し不便でしたが、「生物多様性を尊重する」ことについて学び、それを守ることができたことで、「お金では得られない満足感を得ることができた」、と言っていました。

蜂との共存は、可能です。

あなたも、可能ならぜひ「蜂との共存」について考えてみてください。